椎名林檎が「NIPPON」であらわした和と色合いの正体

2014年NHKワールドカップサッカーテーマ曲「NIPPON」。

プロモーションビデオが良い。

バックバンドの面々は、着物にギター、ベース、ドラム。

椎名林檎が纏うのは、平安貴族の狩衣(かりぎぬ)を彷彿とさせる衣装。狩衣は蹴鞠(けまり)の遊び着と言われる。そこまで計算されているのだろうか。

黒を基調とした和の装いに、ロックテイストのスタッズネックレスやブレスレットがメリハリを与える。

さらに、色調を抑えたモノクロームの映像が雰囲気を引き立てる。セットや背景は何もないので、明治・大正時代のフィルム、写真館で撮影されたフォトを見ているような気分になる。

 

「NIPPON」で表現された5つの青

さて、今日考えてみたいのは、「この地球上でいちばん混じり気の無い気高い青」が一体どんな色なのかということ。

私なりに行き着いた答えは次の5つ。

1.サッカー日本代表のサムライブルー

これは、当然といえば当然だが、日本代表のユニフォームカラー。詳しい色名は不明。アディダスのユニフォームはコバルトブルーが近そうだ。和色で言うと瑠璃色、瑠璃紺あたりではないだろうか。ただ、この2つはちょっと鮮やかさに欠ける。

2.熱く静かに燃える炎

まず思い浮かぶのは、日本代表プレイヤーの闘志。それを炎に例えたのだろう。その青い炎は具体的にどんな色なのか。化学的な炎色反応について調べてみると、硫黄を燃焼したときに生じる炎は青系統だという。さらに、土類金属(ガリウムは青、インジウムは藍)とある。混じり気の無いというイメージからは、無色を示すナトリウムも考えられる。この場合、コバルトブルーのガラスを通して確認する。炎は酸素供給量が多いほど青くなるということもイメージに合致する。

3.ラピスラズリ

サムライブルーのユニフォームに近いカラー瑠璃色・瑠璃紺。瑠璃は天然石ラピスラズリの和名である。この石の名は「群青の空の色」を意味する。石言葉は「尊厳・崇高」。これも、気高い青にピッタリだ。青色顔料の原料となることからも、この地球上でいちばん混じりけの無い青だと言える。

4.空 

日本サッカー協会のHPに「日本の国土を象徴する海と空の青」とある。瑠璃色のラピスラズリの名は群青の空を表す。混じり気の無い「日本晴れ」「天晴」ともつながる。「宇宙に繋がって行く」のは空。そこは「命が裸になる場所」なのかもしれない。

5.海

空と同様に「日本の国土を象徴する海と空の青」がサムライブルー。瑠璃、ラピスラズリという鉱物から想起されるのは、自然。それはつまり地球である。しかし、地球上でいちばん混じりけの無い青=地球となると少し違和感があるので、地球と同義と言えるのは海ではないかと考えた。「地球は青かった」とガガーリンが言ったように、地球の約70%を占める海は青い。こちらも、「宇宙に繋がって行く」「命が裸になる場所」ではないだろうか。

 


ただのこじつけかもしれない。しかし、私の中で、「この地球上でいちばん混じり気の無い気高い青」はより深いものとなった。